ウインドサーフィンを始めたのは二十歳の時だった。
当時大学生二年生だった自分は、時間を持て余していた。
大学の授業は退屈で、アルバイトに明け暮れる日々が続いていた。
毎日がただなんとなく過ぎていた。特にやりたい事もなく、彼女
もいなかった。
あまりパッとしない学生生活の日々にうんざりしていた時だった。
夏も間近の日曜日、下宿の友人達と海に行く事になった。もてない
野郎5人で海を目指す。
下宿の近くに海水浴場はあったが、今日は少し遠くの海水浴場へ、
ドライブがてら行こうという事になっていた。
到着した海はキレイだった、九州の大学に通っていて、海はいつも
近くにあった。一番近い海岸までは自転車で10分位だったと思う。
水着に着替え、水辺でのんびり波と戯れる。九州の海といっても、
湾になっているこの海岸は、波が穏やかだった。
その穏やかな海に漂うカラフルな色彩があった。そのカラフルな色
彩の正体は、ウインドサーフィンのセイルだった。オレンジや黄色、
赤などの目立つ色で、海上を華やかに彩っていた。
「あ〜、あんな風に水面を走る事が出来れば、さぞ気持ちいいだろ
うなぁ〜」と思った。
岸付近まで帰ってきたウインドサーフィンを見ていると、みんなひ
ょいひょいっとウインドサーフィンのボードから降りているのを見
るにつけ、なんだか簡単そうだな、自分にも出来そうだと思った。
運動神経には少し自信があったので、簡単に乗りこなせるな、と、
勝手に思っていた。
それにしてもウエットスーツ姿がカッコ良く、自分も颯爽と風を切
ってウインドサーフィンで海を走り回りたいなぁ〜、という気持ち
が、だんだん大きくなってきた。
下宿に帰って、早速ウインドサーフィンのショップについて電話帳
で調べてみる。当時はまだまだインターネットもなく、ましてや携
帯電話なども一般的ではなかった。
ショルダータイプの移動式電話と呼ばれる携帯型電話を、一部のお
金持ちが持っているという、1990年頃の事だった。
下宿から車で30分程の所にそのウインドサーフィンショップはあ
った。電話を掛けてみる。「プルプルプル・・・」「はい、ウイン
ドサーフィンショップ○○○です」すぐに電話はつながった。
「ウインドサーフィンを始めようと思うのですが、いろいろ教えて
もらう事は出来ますか?」「ええ、大丈夫ですよ、初心者の方でも
スクールもありますし、仲間も沢山いますから、教えてもらう事も
出来ますよ」
「そうですか、では明日お店に伺います」「ハイ、それではお待ち
しております」
これが、その後始まるウインドサーフィンとの出会いと始まりだった。
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